米づくり農業体験(5回)、畑作業(1回)
下里の複数の農家と提携し、有機米の購入や里山保全の支援を行っている都市部企業などのCSA(コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー)活動を一層、促進させるために、集落への支援企業の社員や一般市民を対象にした農業体験会を開催し、農家と消費者の顔の見える関係を構築した。
田植えから稲刈りまで、6回のイベントを行い、都市部企業の社員や一般参加者101人が参加した。今回、平日休みの会社員からの要望もあり、休日と平日の2回ずつ体験会を開催した。平日参加の参加者からは類似する企画は休日開催が多く参加できなかったが、平日開催で参加することができた、と好評であった。集落の有機農業の意義が理解され、交流と地域農産物の購入が増加した。また、来年以降、支援企業が社員研修として農業体験を地元に依頼しており、継続実施していく予定である。
今後の課題として、農業体験から食育や食農教育として定着させていくための“有機の里”下里ならではのプログラムの充実や、集落の米や農産物の消費をさらに拡大していく必要がある。
■ 農業体験の実施概要
■ 農業体験の成果の概要
参加者が農作業の終わりに、地元の野菜直売所の野菜を購入し、売上が伸びた。
お米の提携を希望される方が、新たに数名現れた。
以前よりCSAを行っているさいたま市の企業より、次年度以降、社員研修の一環として実施したいとの要請があった。これからの社会構造を考える時、有機農業の持つ持続可能性と企業の持続可能性に共通する視点を共有することができたと考える。
農家から直接、教えを受けることで、農家との信頼関係が醸成された。
無農薬無化学肥料栽培ということで、安心なお米を作る苦労を参加者全員が理解した。安心なお米を栽培するための多くの苦労について、実際に体験することで、お米に対する意識が変わった、ご飯を残せなくなった、という感想があり、食料残渣の意識改革に貢献できた。
初めて田んぼに入った人も多く、田んぼの土や水の感触に感動していた。まさに「センス・オブ・ワンダー」の世界で、自然とかい離した都市の暮らし方を見直す機会になったという感想もあり、この体験を通じて、自然共生という考えや感覚を呼び覚ますことができた。
毎回、美しい田園風景に心癒される、また、来たい、という言葉をよく耳にし、有機の里づくりを支援したいという参加者が表れた。
参加者から、引き続き体験を希望する人、大豆の栽培をして手前味噌、大麦を栽培してMYビールを作りたいという要望が寄せられ、農業に対する関心を高めることができた。
体験時に提供した昼食では、釜でご飯を炊き、地元の湧水を汲んできて、地元農家が仕込んだ味噌で味噌汁を参加者全員で作ったことより、有機野菜の美味しさを感じる場にもなった。
「地産地消」という言葉を実感として感じて貰うことができた。
参加者全員での米栽培を通して連帯感が生まれ、コミュニケーションが生まれ、知らない人との会話が活発にできるようになったといった、コミュニケーション能力の向上にも寄与した。
12月第1週日曜に開催された「小川和紙マラソン」に、本集落も走るコースが設定されており、米づくり体験参加者も多数参加した。集落だけでなく小川町の観光振興、交流促進にも寄与した。
消費者の顔が見える事によって、農家のモチベーションを高めることができた。
■ 農業体験の課題
農業体験、特に有機栽培の場合、体験の手間が大変で農家の負担が大きい。例えば、田植えの後、参加者が帰った後で、不整列な場所について、植え直しをしなければいけない。稲木に掛ける作業を体験いただくために、重いイナキを準備しなければいけない。※コンバインを使えば、イナキを準備する必要はないが、体験効果を高めるために行っている。
参加者の都合に合わせて農作業を設定するため、気候に合わない時などは調整に苦労する。
農業体験を、食育教育や食農教育としていかに定着させていくか。
次のステップとして、どのようにお米の購入や参加者の食生活に反映させていくか。
普段、デスクワークをしている人にとって、夏の草取りは体の負担が大きく、体調を崩した方もおり、配慮が必要である。
安心なお米を作るためには、安全な水、安全な空気が必須であるが、その部分をどうやって確保し、また、その重要性をどう多くの人に理解してもらうか。
「有機の里・下里」は生物多様性に富む地域となっているが、その価値をどう情報発信していき、理解してもらうか。
(1)6月10日(日)田植え
田植えの第1歩、苗の植え方を農家より伝授いただく。初めて田んぼに入る人も。水があったかい、という感想も聞かれた。
(2)6月19日(火)田植え
平日の火曜日開催であったため、休みが平日の人に好評であった。
田植え体験が初めてという若い人たちに好評であった。
秋の収穫が楽しみ、という感想がたくさん寄せら、この集落の米を、後日、食するきっかけとなった。
(3)7月8日(日)草取り
(4)7月17日(火)草取り
(5)8月26日(日)新規就農者農場
下里で就農した松永さん、有井さんの農場を訪問し、野菜の視察、秋野菜の播種体験などで、交流を深めた。
夏野菜の育成状況の視察
有機野菜の試食
(6)10月2日(日)稲刈り